【結香side】



あれ………?


家に帰って来て早々、制服姿のままであたしは部屋中をウロウロ。


散らかった机の上を手で掻き分けたり、リュックの中を漁ったり。


制服のポッケは確認済み。



ほんとに無い………。


あたしのケータイ!!



「冷静になれ、あたし……」



記憶を呼び起こすとすぐに思い出した。


バスケ部の資料と一緒にケータイを部室に置いて来ちゃった!!?


嘘………どうしよう…。


カーテンを引っ張るように開けると、もう外は薄暗い。



一人で学校まで行くのって……ちょっと怖いな。


薄暗い学校なんて嫌だよ……。


こんな時こそ!!



あたしは咄嗟に立ち上がり走って家を出て、隣の橙磨の家のチャイムを鳴らした。


しつこく押したからすぐに開いて張本人がお出まし。


「なんだよ〜しつこいなっ。一回鳴らせば分かるっつーの!」

「橙磨!今から学校まで付き合って?いや、付き合いなさい!」

「はぁ?俺、もう部活でクタクタなんですけど……」

「…キス奪った代償としては軽いでしょ?」


一瞬焦った顔したけど、すぐに頷いた。



あのキスから1ヶ月は経ったけど、忘れたわけじゃないからね?