目を開けるのが怖くて、俺は唇を離してからゆっくり目を開けた。


そこには唖然、呆然って顔の結香。


そりゃあそうだよな。


単なる幼なじみに名前呼ばれて、いきなりキスされるんだもん。



「……と、橙磨…」

「わりぃ。気にしないで。忘れて?」

「へ?……でも……」

「いいから。ほんとにごめんな?」


指で結香の唇をそっと拭った。


どうしようも出来ない。


キスしちゃった以上は、どうしようも出来ない。


今更「ごめん」って言えなくて、結香に背中を向けて今度は俺が先に歩く。



「ねぇ……橙磨…待って……」

「…ごめん。帰るか」

「うん……帰るよ。帰るけど…っ」



キスをした。


カップルでもない“幼なじみ”の俺がしたキスは、あまりにも身勝手。



もう、幼なじみの俺らには戻れない。



そこから家に帰るまでは何も話さなかった。


とゆうより話せなかった。


結香の顔が見れない。