こんな日は自主練なんて出来ないから、終わると同時に結香と帰ることにした。
まだ夕日が出て道はオレンジ色に染まっている。
「こんな時間に橙磨と帰れるなんてないよね」
「俺、いっつも自主練してるからね。帰るの遅いし」
「努力家だよね、橙磨って……」
「負けるの嫌じゃん!」
「あと意地と根性がある!」
くるりと振り返りまた、俺の先を歩く。
鼻歌交じりに歩く結香の背中を見てると、ふと俺は思う。
もしも俺がキスしたら結香はどんな表情する?
俺……何考えてんだろ。
あー………ヤバイ。
ほんとに好きだ。
めちゃくちゃにしたい。
俺しか考えられないようにしたい、なんて変な独占欲まで出てくる。
「結香」
「ん?なぁに?……んっ」
気付いた時にはもう遅かった。
振り向き様に触れた唇と唇がそれを物語るように。

