ベッドから立ち上がり、橙磨の隣に座って堂々と嘘ついた。


「あたしだってキスぐらいしたことあるよ。高校生だよ?当たり前じゃん」



びっくりした顔であたしを見て、またペンを走らせた。


何が聞きたいのよー……。



「意外だな〜。結香キスしたことあるんだ?え?彼氏いたことあったっけ?俺の知ってるヤツ?」

「誰でもいいでしょ。橙磨に関係ないんだから」

「関係あるよ。俺、結香の幼なじみじゃん!」

「さらに、関係ないからね」


懲りたのか、悔しそうな顔をしてそれ以上は聞いてこなかった。


あたしのキス事情知ってどうするの?


橙磨らしくないな。


「もしも……俺が彼氏だったらどう?」

「どうしたの橙磨。今日の橙磨なんか変だよ?」

「結香が見栄張って変な嘘つくから、俺も変になったんじゃなーい♪」

「はぁ!?ほんとだもん」



たち悪い……バレてる。


こんなくだらない嘘つきたくないけど、なんか橙磨に負けてる気がして嫌だった。


それに………橙磨のキスのこと知って嫉妬したから。



ねぇ、幼なじみなら気付いてよ。


あたしが橙磨を好きだって気持ち。


積極的にしないと気付いてくれないの?


「あー!ツライ!数学の計算多過ぎだろ!」

「頑張ってよ。明日までに部活で宿題提出なんだから」

「頑張るー!」