冬の公式試合のスタメン一覧にあったのは俺の名前。


“佐倉橙磨”と名前がくっきりと印刷されていた。


ずっと、ずっとこれを願って努力して練習して来たのに………。



何も知らない結香は、いつも通りニコニコして話を続ける。


「あと、宮田さんがねー橙磨いつ戻って来るんだって言ってたよ。試合に向けての練習したいからって…」

「出れない」

「え?」

「俺さ……検査結果あんま良くなかったみたいでさ!試合…出れねぇわ」


俺なりに感情潰して笑顔作った。


結香の前で悔しいとこ、悲しいとこは見せられない。


「嘘…だよね?」

「マジ!俺だって試合出たいよ〜?でも医者がダメって言うからさ!」

「橙磨のケガ……治らないの?」

「さぁな〜。どうでしょうねっ」

「あんなに……あんなに橙磨練習してたのに嘘だ…っ…」



ポロポロと涙を流す結香。


なんで………お前が泣いてんの?


嗚咽をもらして泣きじゃくりながら、くしゃっと紙を握り潰す。


「泣くなよー。なしたの?」

「橙磨が泣かないから…橙磨が変な強がりするからだよっ!」

「はぁ〜………。おいで。頭撫でてやるから」



優し過ぎる結香に俺もまた泣きそうになった。