【橙磨side】
急いで病院に駆け付けた母さんと、連れて来てくれた監督と俺の三人で医者の話を聞く。
俺はベッドに座らされて、脚を曲げちゃいけない状況。
「レントゲンを撮って見たところ、右膝に異常が見られました。なので今日は検査入院してもらいましょう。いいかい、佐倉くん?」
「……はい」
ほんとは嫌だ。
検査とか、どうでもいいから早く練習に参加したい。
優しそうな俺の主治医は、母さんとか監督にはまだ話してたけど俺は聞いてなかった。
いや、聞きたくなかった。
こんな時期にケガする自分がバカバカしくて悔しくて……
シーツをぎゅっと握りしめた。
「部活のみんなには伝えておくな。今はゆっくり休め」
「はい。ありがとうございました!」
監督が病室から出て行って静かになる。
母さんは俺の入院準備をしてくれてから、途中で抜けて来た仕事に戻った。
「橙磨~少し大人しくするのよ?悪化したら大変だからね!車椅子使うこと。いい?」
「分かってるって~」
何かと心配性だ。

