鈴城は優しく笑ってあたしの頭を撫でた。


柔らかくて優しい手付きが、不思議とあたしの胸をぎゅっと締め付ける。


心が苦しい……っ。


「ははっ!なんでお前が泣きそうになってんだよ~」

「だって……鈴城が、せっかくこんなあたしのこと好きになってくれたのにっ……」

「いやいや、ダメ元だったし。こうなること分かってた」

「そうなの…?」

「あぁ。悩ませてごめんな?考えてくれてありがとう」


鈴城はどこまで優しいんだろう。


笑って「ありがとう」を言えるなんて……


あたしふったんだよ?


「ううん……あたしこそ。好きになってくれてありがとう」

「ほら、もういいから幼なじみんとこ急げよ!行ってやれ!」

「……行ってくる。鈴城ならきっと良い彼女出来るね。今確信した」

「うるせーな。いつか、最高の彼女連れて来てお前に自慢してやる!」

「待ってるね」



あたしが廊下に一歩出ると聞こえてきた、


「お前が良かった……」


って言葉は聞こえないふりをした。



鈴城ありがとう………大好きだよ。


最高の友達だよ。


それに鈴城のおかげでやっと気付けた。



あたしが大切なのはきっと………