橙磨がケガ……?
嘘でしょ?
「まだ何も報告がないから詳しい状態は分からないけど……あっ、ちょっと…結香…!」
静乃さんに頭を下げてから、あたしはひたすら走った。
廊下を全力疾走して自習室に行く。
鈴城に今日は無理って言わなきゃ………
また後日、答えは言うから………。
「うわっ!びっくりした~!姫川少し落ち着けよ~」
「鈴城!また……また今度ちゃんと話すから!時間がないの!」
「なんかあったのか?」
「橙磨が……橙磨がケガして病院に行ったからっ……行かなきゃ……ごめん!」
今はすごく橙磨が心配なの……。
もしものことがあったらって考えると、怖くて仕方ないし………
下を向いて静かな空間での鈴城の言葉を待つ。
「もう言ってるじゃん、答え」
「え…?」
「それが姫川の答えだろ」
「あたしの答え……」
「そう。お前が今優先したのは、どっちだってこと」
あたしが優先したのは………
ケガした橙磨だ。
監督が病院に連れてってるから大丈夫なはずなのにあたしはこんなに焦って……。

