冬の大会が近いから……の一点張りで言うことを聞かないからしょうがない。
でも、止められなかった後悔の念が少し残る。
それから橙磨は毎日、テーピングしながら練習に参加。
無理しないでほしいのにな……。
今日もまた部活やるんでしょ、どーせ………
呆れつつ教室を出ようとするとクラスの女の子に呼び止められた。
「結香ちゃん!今日、掃除当番だよー!」
「あ……ごめん!ありがとー!」
忘れてた~!!
ホウキ片手にせっせと掃除してると、トントン肩を叩かれる。
千秋…?
じゃなくて、鈴城……。
「今日の放課後、答え聞かせて?自習室で待ってるな」
「……うん。分かった」
いよいよ来たか………
正直、まだゆらゆら揺れてるあたしがいる。
鈴城は友達として優しくて最高にいいヤツ。
そんな人と付き合ったら、絶対に毎日が楽しいし幸せだと思う。
ぐるぐる悩むばかりだ~……。
掃除を終わらせて、自習室までの道を小走りしてると偶然静乃さんに会った。
「静乃さん!すいません!少しだけ、部活遅れます!」
「それより結香。落ち着いて聞いてくれる?」
「はい…?」
真剣な瞳を見詰めると、静かに話された。
その言葉はあたしに衝撃を走らせる。
「橙磨がケガして病院に運ばれたの。監督の車で向かったわ」

