解呪師

ルギウスは獣を見つめ、小さく息を吐く。



「そうだろうとはわかっていた」


「どうすんだ、王子様?カーズが解呪する前に、お前は確実にやられるだろうな」


「何故わかる?」


「俺が獣だからさ」



カーズの肩にとまりながら、獣は続ける。



「獣ってのは、わっるーい思念を糧にしてんだ。そういうのに鈍感な人と一緒にされちゃあ、困るぜ」



得意げに告げる獣を、リーは憎々しげに睨む。そうすると嬉しそうに獣が笑う。

悪循環だ。



「獣の戯言は、人の行動でどうにかできる範囲のものだ」



カーズがそういって立ち上がったので、獣は不服そうにソファに飛び降りる。寛ぐ姿勢だ。


かわってカーズがテーブルをまわってルギウスに近づいたので、リーは今度はカーズを警戒した。それを再び王子に目で制される――その合間に、カーズはルギウスの右横についた。



座っているルギウスは、フードの奥をのぞける角度にいるものの深くフードをかぶったカーズの鼻先までしか確認できなかった。



「フードはとってもらえないか?その恰好では王や兄たちには会わせられない」


「その時になればとるさ」


「そうか。それで何するつもりだ?」



王子の静かな目。その側近のびりびり警戒する気配。獣の楽しくて楽しくて仕方ないという、にやついた口元。


それらを無視して、カーズは王子に手を伸ばす。




その指先が、王子の胸元に届くか届かないかでぴたりと止まる。