「あー、なんか勘違いしてんだろ。さっきのアレは、忘れろよ?」
「でも、」
「アイツはね、マジで理湖が可愛いと思ってんの。俺が片想いしてた時から、奴には話しててさ。そん時から、理湖のこと可愛いって言ってて。だからアイツ、マジで俺に嫉妬してんの。わかった?」

そうは言われても、なんとなく心に引っかかる。

でもこれ以上なにを言ってもムダなのかな、と頷いてみせた。

「理湖は、俺の大切な彼女だよ」

腰に手を回され、グイッと自分の方へ引き寄せる。

「好きだよ、理湖」

耳元で、そんなことを言われると、さっきのことなんかどうでもよくなってきちゃう。

先輩になら、騙されてもいいのかも。そんな感情さえ、生まれてきた。

昼休みも終わりに近付き、『また放課後な?』と、先輩はあたしを教室まで送り届けた後、自分の教室へと戻って行った。