私の頬から手を離すと、椅子を引くカタンという音を立てて、立ち上がる。 「これ、戻しといてやるから勉強しとけ。」 とんでもない命令口調。 彼が私にそんな事を言う資格なんてないのに… しかも散々邪魔しておいて、さっさと帰るし。 慣れなれしい人が私はすごく苦手なのに、それを従わせてしまう彼も、従ってしまう私も。 どこかイライラする。 関わりなんて持ちたくないの。 ほっといてくれれば十分。 関わった人との関係が、壊れたときが怖いから。 ふと顔を上げたときには、彼はもうすでにいなかった。