手の届かないキミと



かといって、私も交通手段は電車なわけで、

みんなが乗るのとかぶらないように早めの電車に乗ってきた。

だから、集合時間までは、まだたくさん余裕がある。


ひとりで時間をつぶすのは、…苦手じゃない。


カフェでもあるかなって、海の近くのカフェって素敵だなって

そんなこと思いながら、駅から出て海辺の歩道を歩き始めてすぐのことだった。


歩道の脇の、浜辺との境界線にある堤防の上に、寝転ぶ人がひとり。

見覚えのある、その人。



「……ハルくん」