手の届かないキミと


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頬をなでる風は、ほんのり磯の香りがして、気持ちがいい。

街にいると、吹いてくる風は熱風で、

身体にまとわりつくような気持ち悪さがあるけれど

…ここはちがう。


「…海だ。」

目の前に広がる雄大な海。

遠くにはヨットが見えて、そのずっと先には貨物船だろうか…大きな船が見える。

手をかざしてみれば、私の親指と人差し指の間で、大きさはさほど変わらないように見える。


すうっと鼻から息を吸い込めば、身体中に海の香りが行き渡る気がして、ああ海に来たんだって感じる。