手の届かないキミと



「そろそろ、帰るか。」

夏とはいえど、もう外は真っ暗。


休んだおかげでだいぶすっきりとした頭は、あたふたしている。

だって、ハルくんがいるんだもん。

心臓がドキドキとして、止む気配なんてない。皆無だ。


「あっ、あの…」

私の分のバッグまで持つハルくんに戸惑うと、

「いいよ、俺が持つから。」

と、先をすたすたと歩き始めたハルくん。


でも、保健室のドアの前で立ち止まると、振り返り、手を差し出した。