手の届かないキミと



「どした?」

そう言って笑うハルくんが、まぶしくて、胸が爆ぜて。

身体中から熱が湧き上がる。

幸い、熱中症のせいで顔が赤くなっていたから、顔が紅潮したことはばれてない。


夢みたいで、信じられなくて、でも夢なんかじゃなくて。

いてもいなくてもわからないような存在の私に、確実に何か変化が起きている。

世界が、変わっていく気がする。


「ハルくん、ありがとう。」

精一杯の感謝を伝えると、ハルくんは何も言わずに笑った。