手の届かないキミと



ゆっくりと瞼を閉じると、夢と現実の境目がわからなくなる。

頭はまだぼんやりとしていて、どれが現実なのだろう。

これ、夢だったりして。

現実の私はまだ、花壇に倒れたままだったりしたら…


「っ…」

ひんやりとしたハルくんの手が、私の額の上に乗る。

これ…現実だ。

どうしよう、ハルくんが私を助けてくれて、そばにいてくれている。


「…ハルくん」

再び瞼を開けて小さい声で名前を呼べば、「ん?」ってハルくんが私の顔を覗き込む。