手の届かないキミと



俺が取ったピンクのシュシュを手にしたミチルは、きれいに微笑んだ。

『なんだよ、ニヤけて。気持ち悪いな』

そうは言ったけど、内心はすごくうれしかったんだ。

俺の取った安っぽいシュシュで、ポニーテールを結ったミチルを見て、うれしかった。


…その日の夜に、俺は失恋するなんてことは露知らず。





「いつかね、」

まぶたをゆっくりと開けたミチルがそっと言葉を発した。


「いつか、渡すんだってずっと思ってた。そのシュシュを、ハルくんが好きになった人に」


俺の手のひらからシュシュを受け取ったミチルは、それを懐かしそうに眺めた。

シュシュは薄汚れていて、シミなんかもできてて、でもそれはミチルがいつも持ち歩いてたことを暗に示している。