「では先生、さようなら」 担任が何か言いかけた気がしたけど、そんなの構わない。 夏とはいえ、外はもう薄暗いし、 もしこれ以上なにか雑用を頼まれても、さすがの私でも明日でいいですかって断るだろう。 …断るっていえるのかな? 結局は引き受けて、明日にまわしてるだけ。 誰もいなくなった校庭をゆっくりと歩き、校門を出る。 不思議と、落ち着いた気分になった。 学校で、私以外に誰も生徒がいないっていう空間に、なんだか気が抜けた。 私を見る好奇の目はないし、あることないこと言う口もない。