手の届かないキミと



答えなんて、聞かなくてもわかってる。

だから、何もなかったように、この場を立ち去ってくれたっていい。


ただ、いまこのとき、

ハルくんに私という存在に気づいてもらえているなら。



「…いいよ。」


「…え……?」


突然ハルくんが発した言葉に、頭がついていかなかった。


「だから、いいよ。」


ハルくんはそう言うと、くるりと背中を向けて、今度こそ教室をあとにした。


私は何が起こったのかわからなくて、しばらく呆然と立ち尽くした。