手の届かないキミと



休み時間の教室が、一気にしんと静まり返った。

こんなハルくん、初めてで…

多田くんたちも言葉をなくしている。


そんなハルくんは教室を一瞥したあと、ずんずんとこちらに向かって歩いてくる。

みんなはハルくんのために道を開け、不安げな眼差しでハルくんを見る。


西村くんのところまできたハルくんは、不愛想に、だけどしっかり

「はよ」と、西村くんたちに挨拶をした。


それからハルくんは、空いていた西村くんの席に座る。

ふわり、女物の香水のにおいがした。