手の届かないキミと



始業を知らせるチャイムが鳴り、多田くんたちはそれぞれの席へ戻っていく。

それを見送る西村くんの顔が、ふいにこちらを向いた。


「髪型、変えたんだ」

久しぶりに、西村くんから話しかけてもらった。


「う、うん…!」

そうはいっても、三日ぶりなのだけど。

西村くんは些細なことでよく話しかけてくれてた。

おはようから1日が始まって、授業中は教科書のページ数を聞かれたりして、放課後のまた明日まで。


「似合ってる。」

「…ありがとう。」

だから話しかけられて、うれしかった。