手の届かないキミと



ハルくんと篠田さんは付き合い始めたんだと、私もそう思っていた。


「違うだろ。」

冷たい声で、西村くんが多田くんたちに言い放った。


「篠田のわけないだろ。」

西村くんの呆れたような、いらついたような声に、多田くんたちは口を閉ざした。


ハルくん…

気にならないといえば、嘘になる。

だけど、好きかって言われると…わからなくなる。


”好き”って二文字を頭のなかに思い浮かべると、ハルくんの顔がいちばんに浮かぶ。

けど…

そのあとで、照れながらもまっすぐに私を見て「好き」だと伝えてくれた村山くんの顔も浮かぶんだ…。