手の届かないキミと



「アイツ、来てないのか?」

「ああ。なんかまた荒れてるみたいだぞ」

「さっき俺、篠田に会ってきた。」

「篠田?アイツ、篠田と一緒じゃないのか?」

「違うって。篠田は海のときからアイツに避けられてるって泣いてた」

「そうか…」

「女遊び、やめたと思ったんだけどな…」


隣の席から聞こえてくる会話。

西村くんのところに集まった多田くんたちが話題にしているのは…きっと、ハルくんのことだ。

ハルくんは今日、まだ学校に来ていない…。


「アイツ、篠田に落ち着いたんじゃなかったのかよ。」

「俺もそうだと思ってた。」