手の届かないキミと



「は、ハルくんっ…!」

初めて、ハルくんの名前を呼んだ。


ハルくんが振り返ってくれる自信なんてなかったけど、ハルくんはまた私のほうを見てくれた。


「あ、あの……あり…がとう…。」


ハルくんに見つめられて、緊張して、語尾が小さくなる。

情けない。けど、どうしようもない。

もうすでに私の緊張は限度をとうに超えてて、

心臓だって、ドキドキなんてレベルじゃない。

呼吸をするのだって、苦しいよ。


「いいよ、別に。」

ハルくんはまた背中を向けて歩き出した。