手の届かないキミと



「でーきた♪」

と、ご機嫌そうな黒岩さん。


いつもより明るく見える視界に、世界が変わったかのように思える。

…前髪、あがってるんだ。


「ポンパにしてみた」

「ポンパ?」

「ポンパドールのことだよ」

「よくわからないけど…お姫さま感増した。かわいいよ。」

村山くんが、かわいいって言った。

でもそんなの気にしていられなくなるくらい、もっとたくさんの「かわいい」が聞こえてきた。


びっくりして見渡せば、クラスのみんなが私のことを見ている。