手の届かないキミと



「落ち着くから」って答えようとして、黒岩さんの顔を見たとき

びっと、少しだけ髪が引っ張られる感覚がした。


「わっ」

その原因は村山くんだ。

三つ編みを結っていたヘアゴムを取られ、私の髪は広がる。


それ見て、はっとしたように瞬間で動いた黒岩さんは、私の髪を手ぐしで整え始めた。


人前で髪を下すの、久しぶりだ…。

中学校の修学旅行以来で、どぎまぎする私の心。


「うわっ…」

髪を下した私を見て、村山くんが声をあげた。