手の届かないキミと



廊下にまでもれてくる、クラスのみんなの楽しそうな声。

少しばかり耳を傾けてみると、どうやら話題は海でのことみたい。


みんなが話に盛り上がってるなか、そっとドアを開けて入ろうと思った。


そっと、静かに、きっと私に気づく人なんていない。

だからそっと、ドアを開けて教室に入れば…


「古畑!おはよう!」

教室に踏み入れた瞬間、元気な大きな声に名前を呼ばれた。

思わず、肩がビクっとあがってしまった。


でもその声は村山くんで。

だから彼の姿を探そうと教室をぐるりと見渡せば、教室の真ん中のほうで私に向かって手を振る村山くんを見つけた。