「いいんだよ」 そのひとこえが、私の固まったままの心を流してくれた。 「つらいばっかりよりも、楽しいほうがいいじゃん」 リョウさんも、村山くんに気付いたみたいだ。 「ほら、迎えに来たんじゃん?」 息を切らした村山くんは、私たちを視界にとらえると、ゆっくりと歩き出した。 「女の子は、守られるものなんだ。男が守ってやらないと、だめなんだよ」 リョウさんの顔が、少しゆがんだ気がした。 「守ってやれない男のそばにいることなんかない」