手の届かないキミと



ビーチバレーを楽しむ篠田さんの声が、遠くに感じる。


「古畑?」

心配そうに私の顔をのぞき込む村山くんに、私は笑顔を返した。


「僕とペア組まない?」

「え?」

小さな声でこそっと、唐突にそう聞いてきた村山くん。



「杉浦、篠田とペア組んだみたいだしね」

「村山っ…!」



村山くんの声のあとに、西村くんが村山くんの名前を呼ぶ声もした気がする。

でも、もうそんなのわからないや…。


気づいたときには、私は走りだしていた。

…遊ばれてもいいだなんて、そんなの強がりだ。


遊ばれるのは、こんなにも辛い。