手の届かないキミと



ばしゃり、私がたてたんじゃない飛沫が飛んだ。


「っ…」

顔にかかった水を手でぬぐうと、浮き輪がぐらりと揺れた。


「きゃっ!」

得体の知れない力に、驚きと恐怖の顔をあげると…




「おい!」

怒気を含んだ、胸が焦がれる声がした。


「ぇ……」

目の前に、私の浮き輪をがしっとつかんで波に漂うハルくんがいる。



「泳げねーならひとりで海に入るんじゃねーよ!」


ハルくん……