手の届かないキミと



ガラッと教室の前方のドアが開いた。

びくっとして視線をドアのほうに向けると、


それは、ハルくんだった。


ハルくんとばちっと視線が合って、私は思わず下を向いた。

初めて、ハルくんの視界に入れた。

でもそんなことよりも、私とハルくんの二人しかいないこの教室。

そんな空間に、心臓がものすごい音をたてて鳴る。


ハルくんは自分の席にくると、荷物を持って、入ってきたドアに向かって歩きだした。

ハルくんの茶色の髪が、窓からの光にさらされて、キラキラと輝いていた。

きれい……なんて思っていたら、

ドアの前まできたハルくんが、何を思ったかくるりと振り返った。