やっぱりね。

台所に立っていたのは、幸祐だった。






「おはよ」

「おはよ、幸祐。いい匂いだね」

「うん、ワタルさんに台所借りた」

「へぇ?」



『お嬢の事は他の男には任せられない』なんてセリフが口癖のワタルなのに。


ほかの舎弟が台所に入ると、すごい剣幕で追い出すんだよね。




でも……幸祐にはOK出したんだ。




昨日知ったばかりの、私の『お兄さん』。

たった1人の身内。


その人が幸祐のこと認めてくれたのかな、って、ちょっとくすぐったくなる。





「食べよっか」