正が歩きながらこっちを向く

「どっか寄って帰るかー?」

「正お前今日、鈴香ちゃんとデートっていってたやん」

俊ちゃんが苦笑しながら正に聞くと
正はべーっと舌を出して怪訝そうな顔をした

「あいつ浮気してやんの!」

「え、正みたいな人でも浮気されるん?」

うちが不思議そうに問うと
正は真顔で頷いた

「俺みたいなイケメンでも浮気ぐらいされるんですよー」

「お前の場合は女癖が悪いんよ、やけん浮気されるんやろがばーか」

俊ちゃんが正の肩を軽く小突く

「いーちゃん、正みたいな奴に引っかかんなよ?」

「なんなん正みたいな奴ってー!」

正は少しむっとして俊ちゃんの頭を叩いた

「彩葉ちゃん、どっか寄って帰らん?」

「あー、ええですよー、塾までまだ時間あるんで」

「え、いーちゃん頭そんなんやのに大丈夫なん?」

うちは笑って大丈夫と言うた
うちらは街のほうに電車に乗って行った
観覧車が綺麗にライトアップされとる

「あれ乗るか?」

正の提案でうちらは観覧車に乗ることになった
歩きよる時やった

「ん?いーちゃんこんなん付ける子やったんか?」

俊ちゃんがそう言ってうちの耳に付いとるピアスを触った
その瞬間うちは反射的に俊ちゃんの手を払いのけた

「おいや!いらわんでや!!!」

ふと我に戻ると俊ちゃんも正も驚いて立ち止まってしもとる

「す、すまん、おがってしもぉて…」

「いーちゃん、何弁喋っとんの?」

え、あ、しまった…
うちは慌てて口を閉じる

「ご、ごめん、今日もう帰るわ」

うちは走ってその場を去った
後ろで俊ちゃんと正の声がするけど
立ち止まることはなかった