「…あ、一つだけ言っとくけど、



昨日出かけた時に怖い奴に絡まれて


慎哉と紫穂に助けられて姫になったってことだから、



口裏合わせなさいよ。」



「………奈織、うそ…ついたのか。」




「うーん、“嘘”じゃないよ。




少なくとも今もそれは“事実”としてあり得ない速度で広まってると思うよ?



造られた“事実”が広まれば“真実”になるんだよ。」




それが世の中の理。



「…へぇ~、姫様ってば可愛い顔して策士だねぇ~」





「……あなた達が生きている世界はそういう世界でしょう?」




私は暴走族なんて何にも知らないけど、




“裏”の世界は、度合いが違うだけで同じようなもの。



そして、“裏”は如何に正しい情報を早く手に入れられるか、




…敵に間違った情報を握らせるか、



それですべてが決まる。