「…おかえりなさい、奈織。」



私を出迎えてくれたのは、両親とあの人だった。


「ただいま。」


そう言った私に3人は、目を見開いた後、嬉しそうに微笑んだ。


笑うことはまだできなかったけど、ちゃんと会話は成立するようになっていた。

「向こうはどうだったかい?」


あの人の言葉に、なんと返せばいいのかわからなくて、


「…大学を卒業しました。」


そう返したら、さも面白そうに笑ってくれた。