わたしのぶんまで注文して、お財布を取り出す。
「え、いいよ」
「いいから」
手で制止され、ミルクティーとカフェラテを受け取り、歩いていく一紗に着いていく。
「はい」
「……ありがとう」
席に座った一紗の正面に腰かけた。
渡されたロイヤルミルクティーに浮かぶ生クリームを軽くかき混ぜ、窓の外に目を向ける。
「雨、降りそうだね」
「……うん」
外なんか見ずに、難しい顔をしてる一紗を見て、わたしはしばらく黙っていようと思った。
どれくらい経ったのかな。
カラン、と一紗のカフェラテの氷が溶けた音がした。
「……紗弥さん、」
「うん」
「俺……す、…………好きな人が、できた」
「……うん」
なんとなく、思った。
好きな人云々とは思わなかったけど、
「……じゃあ、別れようか」
別れ話だということが、雰囲気でわかった。
「……うん………ごめん、紗弥さん、」
「………………うん、今まで、ありがとう」
3割くらいしか飲んでいないミルクティーをそのまま、立ち上がる。
「さよなら」