なんで行かなきゃならないの。
「二人の邪魔しちゃ悪いから帰るよ」
『……じゃあ俺が行く』
プツッと電話が切れて、また静かになった。
なんなの?
ポカーンと立ち尽くしていると
「紗弥さんっ」
ドンッと背中になにかが体当たりしてきた。
「か…一紗?」
だよね?
じゃなきゃ不審者。
「会いたかった」
走ってきたのか、息があがってる。
体も熱い。
「走って、来たの?」
首だけ後ろを向くと、一紗がヘラッと笑う。
「紗弥さん、話がある」
「……うん」
なんだろう。
「あっ奈良原」
一紗の部屋の前に立っていた滝野さんが駆け寄ってくる。
「ごめん滝野」
「……もう、大丈夫?」
「うん、ありがと」
「じゃあ、お邪魔者はこの辺で」
「たっ、滝野さん!」
なぜか帰っていこうとする滝野さんを慌てて呼び止めた。
「えっ、はい?」
「わたしなんかより、滝野さんがいてくれたほうが……」
「……あ、」
滝野さんがクスッと笑ってわたしを真っ直ぐ見つめてきた。
「奈良原、宮内さんじゃなきゃダメなんです
私がこんなこと言うのもおかしいかもしれないけど
宮内さん、どうか、奈良原をよろしくお願いします」

