「宮内?聞いてんのか?」
「聞いてるよ 」
「だから、今夜にでも行けよ、奈良原んとこ」
「…………」
「返事は」
「ハイ」
そして一紗の部屋に来たわけだけど。
インターフォンが、指が震えて押せない…
一応、手土産にと思って買ってきた"産地直送産みたて卵で作ったカスタードプリン"だけ渡して帰ろうかなんて思い始めてる。
よし。
押すぞ。
よし!!
ピンポーン……と響くインターフォン。
「はいはーい」
ん?
女の声。
ガチャ、と開いたドアから顔を出したのは営業の滝野さん。
「えっと……経理の宮内さん」
「あ、そうです………あの…コレ」
プリンの箱を差し出す。
「ちょっと待っててくださいね、奈良原~」
「よっ、呼ばなくていいですっ」
「えっ、でも」
「プリン、お二人でどうぞ!」
すぐに走ってその場を去る。
なんで?
なんでよ?
なんで、家に滝野さんがいるの?
~♪
鳴り出した携帯を見れば、一紗から着信だった。
「……もしもし」
『紗弥さん?聞いて、あの』
なんだろう。
「滝野さんと、付き合うことになった?」
『は?……ちがうよ』
「じゃあ、なに?」
『紗弥さん、まだウチの近くにいる?』
「……うん」
『悪いんだけど、もっかい来て』
「なんで?」
『俺もう紗弥さん不足で倒れちゃいそうだから』
「意味わかんない」

