あははと笑いあいながら会社に入った。
「今勝負してるんだよ」
「勝負?」
「わたしは一紗に落とされないように、一紗はわたしを落とせるように」
「えっ!なにその勝負!」
「わたしが負けたら結婚、一紗が負けたらもう近づかないって条件なんだ」
「くだらないこと止めなよ! 奈良原くん変わったよ!紗弥のことしか見えてないよ!」
「……これが、わたしたちなりのケジメだから」
「…………逐次報告ね」
「うん」
「でもイイ男だと思うけどな~、奈良原くん」
「そう?渉くんは?」
「渉くんは別格だよ」
麗は渉くんにゾッコン。
わたしも誰かにゾッコンになりたいなー。
「宮内!吉川!」
ガラス張りの喫煙所からタバコ片手に手を振る橘。
……うーん、男としてあんまり意識ないなぁ。
それにわたしより麗のほうが好きでしょ、きっと。
仲良さげに麗と話す橘を見てるとこいつはナイな、と思う。
うーん、ほかに誰か。
「紗弥さぁん」
うわあ、出た。
さっき置いてきたはずの一紗が追いかけてきた。
しかも甘ったるい猫なで声なんか出しちゃって。

