「ねぇ紗弥さん」
「なに?」
グツグツ煮える鍋のまわりをうろちょろする一紗が、話しかける。
「俺のこと好きになった?」
「あ?」
「俺のこと……好き?」
可愛らしく首を傾げた一紗。
…………ニヤリ。
わたしのなかの悪魔が微笑んだ。
ソファから立ち上がり、一紗の後ろからピタッとくっつく。
「え、ちょ……紗弥さん?」
「一紗は?好き?」
「だから俺は紗弥さんがっ…」
そこで止まるか?
「紗弥さんが、なに?」
「紗弥さん、後ろじゃなくて…」
「わたし、一紗が好きだよ」
「っ」
「なーんて、言うと思った?」
後ろから一紗の顔を覗きこんでニヤッと笑って見せた。
「っ……もう!紗弥さん!」
「あははっ」
サーッと一紗から離れて再びソファーに座った。
してやったり。

