「なーんか、奈良原くん、雰囲気変わったね」
「そう?前からあんなじゃなかったっけ」
「子供っぽさ全開じゃん」
「……伝えとくよ」
確かに子供っぽさ全開では、ある。
でもそれはわたしが「下心見せたら家に出入り禁止にして股間を蹴りあげる」と言ったからであって
チョッカイ出そうものなら絶交と伝えてあるからだ。
おかげで夜は安眠、キスの1つもされてない。
もともとあいつはあんな感じで変なスイッチが入ったときだけ、妙に男らしくなるんだ。
だからと言って職場でもあれはどうかと思うけど。
「宮内ー」
「あ、橘」
「ホラ」
「お!ありがと」
1階の自販機にしか売ってないロイヤルミルクティーを、1階の喫煙所に行った橘に頼んでおいたんだ。
「吉川も、ホラ」
「わーい!ありがとう!」
アロエ入りヨーグルトを受け取り、嬉しそうな麗。
「つーか、なに?お前奈良原と復縁したの?」
「ハァ?」
「いや、今そこで奈良原が……いや、やめとく」
「なに?気になるから言いなさいよ」
「紗弥さんがどうのこうの、って」
大事なとこ聞き逃してんの?アホなの?
「ま、いいや」
とりあえず、職場での紗弥さん呼びを禁止しなくちゃ。
「だから本気なんだって」