「それでは、今日はこの辺で」
やっとお開きになったこの謎の対面会。
かれこれ三時間だ。
「じゃあね紗弥、また帰ってきてね」
「もう帰らない」
「親不孝なこと言わないの」
「……ぶー」
そっぽを向くと、お母さんはサッサと一紗母と2軒目のお茶会に去っていった。
残されたわたし。
と、元カレ 一紗。
「じゃ……」
「紗弥さん」
「…………」
この間あれだけ啖呵を切ったあとだから気まずい。
「紗弥さん、少し付き合ってください」
「…………」
「無言は肯定としてとりますよ、俺」
「やだ、帰る」
「なんと言おうと肯定としてとりますね」
勝手にわたしの腕を引いて歩き出したあたり、強引さは母譲りだと確信した。
「紗弥さん、どこいきます?」
「家。帰る」
「それはダメです」
グーーっと鳴ったお腹の音。
クスッと笑って「昼食べに行きますか」と、一紗は目的地に歩き出した。
「ここ……」
「来たかったとこでしょう?」
「…………」
前に雑誌で見て話したところだ。
よく、覚えてたな。
「入りますか?それとも帰りますか?」
「一人で入ります」
「行きましょう」