トントン拍子に進んでいく母たちの話。



わたしは蚊帳の外だ。



「あ、そうだわ よっちゃん」


思い出したようにバックを漁る一紗母。



「コレ」


カタン、とテーブルに置かれたのは銀色の鍵。


「あぁっ、そうだったわ、紗弥、鍵頂戴」



やだやだ、なんかこの流れ、オチがわかっちゃったよ。



「わ、忘れた」


「嘘ね、バッグ貸しなさい」


「やだ」


「紗弥」


奪われたバッグから出されたわたしの鍵。


「ホラ」


「じゃあ、はい、一紗」


「……」


「紗弥も、家の鍵と一緒につけとくわ」


………………



渡された鍵を無言でキーケースに付ける一紗と、勝手に付ける母。


一紗のキーケースはわたしがあげたものとは、違うものだった。




もう、どうにでもなれ。


あ!


いや、まだ救いの手があった!




「奈良原さん、営業部の方と付き合ってませんでしたっけ? 大事な人がいるとか、なんとか」



「あら、そうなの?」


「いません」


はぁぁぁあっ!?


この裏切り者っ !!



「宮内さんの、勘違いでは?」


「そうね、紗弥の間違いね」



くぅぅぅぅっ !!


悔しい!