なのに、後ろからザッザッザッと歩いてくる音に驚いて歩く速度をあげた。
物部たちは逆方向だもん。
「宮内さん…………」
……この声は一紗。
わたしが歩く速度をあげると、続いて速度をあげたらしくザッザッザッとまだ着いてくる。
「紗弥さん」
ダメだよ。
止まっちゃダメ。
振り返っちゃダメ。
「紗弥さん!!」
大声に思わずびっくりして立ち止まった。
立ち止まっちゃ、ダメだとわかっていたのに。
……
「あの、紗弥さん、」
「っ」
近づいてくる足音。
「…………なんの、用」
喉の奥から絞り出した声は低くて掠れていた。
「俺、紗弥さんが……」
「なに?」
「…………まだ、好きです」
数時間前のわたしなら、飛び跳ねて喜んだかもしれない。
だけど
「さっき、あんなの見せられて信じろって?」
「……すいません」
「………からかうのも、大概にしてくれる?」
「からかってなんかっ……」
振り返り、一紗を睨みつけた。
……泣きそうな顔してる。
「わたしより、大事な奴がいるんでしょ?」
「…………それは」
「2度と、好きだなんて言わないで」
「っ、あの、紗弥さん」
パン!
一紗の頬っぺを、思いっきり叩いた。
「った……」

