僕は次の日、家から出ると待ち合わせ場所まで走った。
昨日、秋山と一緒に学校へ行く約束をしたのだ。
待ち合わせ場所にはもう秋山が立っていた。

「あ!ごめん!待った?」

秋山は僕に気が付くと優しく微笑んだ。
すると秋山は手を差し出してきた。

「行こう!」

僕は差し出された右手を見た。
手を繋いで学校まで行くということなのだろうか。
僕は周りを見渡した。

「あ・秋山、手を繋ぐのはちょっと・・・」

僕がそう言うと秋山は無理矢理僕の手を握った。

「良いから!早くしないと遅刻しちゃうよ!」

僕は秋山に引っ張られ、そのまま学校へ向かった。

僕と秋山が付き合っているという情報はすぐに広まった。
あんなに堂々と手を繋いで歩いていればすぐにバレる。
しかし、相変わらず皆の僕に対する態度は変わらなかった。
僕は夢野にこのことを話したかったが、
夢野はその日学校に来ていなかった。

授業中はいつも隣に秋山がいるし、
僕が1人になるのは体育の授業の時や昼休みの時くらいだった。
昼休みになると秋山はクラスの女子と共に教室を出て行ってしまう。
きっと周りから、僕と付き合っていることについて色々と聞かれているに違いない。

僕は1人で屋上へ向かう。
秋山と夢野がいなければ、僕は1人だ。
屋上に着くと、誰かが寝ているのが見えた。

「え!?夢野!?」

僕は驚いた。夢野はいつものように本を読んでいた。

「今日は休みじゃなかったのか?」

僕が言うと、夢野は黙ったまま何も言わない。

僕は夢野の隣に座ると、秋山のことを考えた。

「昨日、秋山に告白されたんだ」

僕は言った。

夢野は僕を見る。

「それで?」

夢野はいつもより低い声で聞く。

「だから、付き合うことになった。」

僕は嬉しくなって顔がにやけてしまう。

「・・・。ふ~ん」

夢野はそう言うとまた本を読み始めた。

「ふ~んって、それだけ?驚かないのか?
あの秋山が僕に告白してきたんだぞ?」

僕がそう言うと、夢野は何か言いたそうな顔をした。

その時、遠くの方で「うわっ!」という声がして僕は振り向いた。

そこには、田口と磯谷が立っていた。