片道2時間。





でも、彼はもう隣にはいない。





なぜなら彼は、東京に引っ越してしまったから。





私達にとっては、東京という場所はあまりにも遠く感じて。



イメージもつかない見知らぬ街。



そんなところに、前澤は親の仕事の都合で引っ越してしまったのだ。




編入試験も無事合格した、とにこにこ笑っていっていたのを覚えている。







元気でね、とクラスメイトが話しかける中、私はその輪に入れなかった。




きっと泣いてしまう。



そんな重い彼女になりたくない。





でも、ポロポロと涙を流している女子の姿もあった。



彼女は私なのに。



最後まで、醜い嫉妬心が残っていたのを覚えている。