「…なんで?」 西野くんの声が優しい。 「わかんなかった、から」 顔を見て話せなかった。 あの、花火に照らされた前澤の顔が頭から離れない。 「…有紗ちゃんのことは、完璧に片付いたわけじゃないから。 だから、またいなくなっちゃったらどうしようって、次はもう耐えられない」 大事な人を、失うこと。 私を見つめる瞳の中に、違う女の子がいること。 …もう、きっと私は耐えられない。