片道2時間。





「…なんで?」





西野くんの声が優しい。





「わかんなかった、から」






顔を見て話せなかった。


あの、花火に照らされた前澤の顔が頭から離れない。





「…有紗ちゃんのことは、完璧に片付いたわけじゃないから。


だから、またいなくなっちゃったらどうしようって、次はもう耐えられない」






大事な人を、失うこと。


私を見つめる瞳の中に、違う女の子がいること。






…もう、きっと私は耐えられない。