「伊織くんが私の精神安定剤の代わり、なんて言わなきゃ傍にいてくれなかったでしょ? 私、ずるいんだよ」 有紗が言う、“精神安定剤”は嘘で。 それを鳴海にも言っていた、ということを知って全てがつながった。 鳴海は有紗のために、嫌い、だなんて言ったんだ。 あの震えた声も、涙をぼろぼろ流した顔にも、ずっと疑問に思っていた。 そんなことは知らずに、軽々とメールで別れようなんて送ってしまった自分に、猛烈に腹が立った。 有紗のことも、鳴海のことも。 こんな自分が、嫌になる。