「行かないで、伊織くん!」





俺の背中に抱きつき、離れない有紗。






でも早く行かなきゃ、鳴海が帰ってしまう。





「…ごめん、離して有紗」




「嫌だ!離したら小夏ちゃんのところへ行っちゃうでしょ」






まだ何も話してないんだ。





まだなにも伝えていないんだ。